イチロー、引退。
野球やサッカーのレプリカユニフォームを
買うのが大好きな私の、
最初の1枚はイチローだった。
親に手を引かれ、
訪れたグリーンスタジアム神戸の景色は、
今もまだ忘れてはいない。
そのどこにイチローがいたのかまでは覚えていないほど、
当時の自分は幼かったけど、
たしかにそこにイチローはいたらしい。
生まれる前からプロ野球選手で、
物心つく前からスタープレイヤー。
20年以上に渡って一線を走り続けてきたことは、
ただただ凄い。
何をするにしても、努力が足りない時に、
必ずと言っていいほど引き合いに出されるのもイチローだった。
「あのイチローでも努力をしているんだ」
「努力を続けるからイチローは打てるんだ」
そんな言葉はもう聞き飽きて、
「俺は別にイチローじゃないよ」と、
嫌になることもしばしば。
あれほどの才能を見せつけられては、
たとえイチローが自身を努力の人と評しても、
天才という限られた、別世界の住人にしか見えなかった。
そうやって、頑張ることを辞めたのは、
いったい何度あっただろう。
そんなイチローも、最後はヒットを打てなかった。
衰えにはとうとう勝てなかった。
イチローは決して別世界の住人ではなかった。
本人の言うとおり、
努力を積み重ねてイチローであり続けたのだろう。
全盛期の並外れた成績は、他人事のように見ていた。
ただイチローがイチローでなくなった今こそ、
その姿に夢を見る。
誰だってイチローになれる。
彼は最後までスーパースターだ。